テレビもない。パソコンも、インターネットも使えない。もし、そんな場所に身を置いたとしたら、あなたは何をして時間を過ごしますか? そんな場所は、今時、珍しいかもしれませんね。電波に追いかけられない場所。
けれど、電波を追いかけないぞと、覚悟することは出来るはず。
私は、ある友人のアトリエに、身を眩ますことがあります。そこは私にとって秘密の場所。誰とも連絡を取らない。そこに居ることも、友人以外は知らない。友人の留守中に間借りするので、誰も来ない。もともとテレビもないし。携帯はカバンに入れたままにして。
聞こえるのは、シュンシュンと湯の沸く音。
目に入るのは、風に揺れる中庭の草葉。
夏はグラスの水滴を見つめ、冬はストーブの火を眺める。
時に知的好奇心を満たしたくなれば、友人の蔵書を開く。
ささやか、でしょうか。いえ、美しい時間です。電波を追いかけない、思考を追いかけない、誰のことも追いかけない。ただ、今そこにあるものを見て・聞いて・香って・味わって・感じるだけの時間。五感を解放すると、自分が自分の力で、整えられていくのがはっきりとわかります。
そう、ただ、覚悟するだけ。
ほんの数日だけでも。
デジタルを諦める場所を、ぜひ作ってみてください。わざわざ山奥にいくこともありません。植物と火と水のエッセンスがあり、手入れの行き届いた空間であれば、都会であっても良いと思います。家のどこか一室でも、十分でしょう。
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